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ゴキブリを窓から捨てた女子

ある日、同僚氏が授業から戻るなり、イヤ、参りました、と話し始めました。
授業中に、作業をしている生徒の間を歩きながら、ふと足元をみると、巨大なゴキブリが床を走っているのが見えたとか。
彼がうわっと、つぶやく。と、ヤツがにらみつけたので、後ずさりしたところで、近くの生徒が気づき、あ、ゴキブリ!と叫びました。途端に、ちょっとした騒ぎになってしまったとのこと。

天敵がゴキブリという同僚氏が躊躇しながらも、覚悟を決めようかと迷っていると、女子のひとりがすっと近寄り、素手でゴキブリを捕え、そのまま窓から外に投げ捨てた、と。
騒ぎが収まると、その女子、なにもなかったかのように「手を洗ってきていいですか?」といって廊下に出て行ったそうです。

「蛇も蜘蛛も平気なんですが、ゴキブリだけは本当に苦手でして。彼女がいなかったら、自分が戦うしかないと思っていたのですが。」
という同僚に、「ゴキブリ」に強く反応した教員が来て、「ホントによかったですねえ。」といい、「でも、その生徒、素手でつかんだんでしょ。」と複雑な表情をしています。

転勤してきて1カ月、この学校の生徒はちょっといいかもしれない、と思いました。
P3090803.jpg

これまでにいろいろな生徒や生徒集団をみてきました。
ある集団では、こんなゴキブリ騒動があると、あらかたが生徒が立ち上がって、大騒ぎになります。
ゴキブリが本当に苦手という生徒は授業中でも、立ち上がって逃げます。それにつられるように、ゴキブリがそれほど苦手ではない生徒も集団のノリに同調して、逃げるものです。集団に同調することが優先されるのです。
もし、そんな雰囲気の中で、素手でゴキブリを捕まえて捨てる生徒がいたら、同調しない者として排除されるリスクを覚悟しなければいけない。「変わったヤツ」といわれるだけならまだしも、「汚いヤツ」として攻撃されることもあるからです。
全体の半分の高校では、こんな状況になるはずです。
これが多様な高校を経験してきた私の感覚。

自宅でゴキブリに怯えたりするのは特に気になりません。誰だって苦手な生き物はいるものですから。
私の場合、ゴキブリはつかめますが、ヘビは無理。家族はこの逆。
イヤなのは、教室とか職場で、ことさらに「ゴキブリ!」と悲鳴をあげたがる人。なにをまた、こんな場所でカワイイ人を演じるんだ?と。本気で怖かったら、黙って遠ざかるだけでじゅうぶん。
ついでにいえば、それをことさらに騒ぎたてる(これは男子に多い)のも見ていてツライ。イタいと感じる時もあります。(まあ、授業をお祭り気分にしたいのもわかりますが)

たぶん「場所をわきまえる」という感覚の問題なんだと思います。
数年前に「仕事場で土下座」ドラマが大好評と聞いて、なんとも気持ち悪い状況になったもんだな、と思ったのとどこかで通じています。
ところかまわず、自分の素の部分を見せたがるのって、やっぱり痛々しいとしか言いようがありません。
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協約結ぼうぜ

気持ちいい・・・・3


『「そこそこ ほどほど」の生き方』(深澤真紀)の巻末対談(深澤×上野千鶴子)に紹介されていた『沖で待つ』(絲山秋子)を読みました。

なるほど!

これは読んで満足。

主人公の女性が、ウマが合った同僚の男と約束をして、それを果たすという話。 

太っちゃんが低い声で、
「おまえさ、秘密ってある?」と言いました。
「秘密?」
「家族とかさ、恋人とかに言えないようなこと」
 太っちゃんは秘密の話がしたくて、今日私を誘ったのだな、と思いました。けれど聞いてどうなるもんじゃなし、まあ話して気が楽になるんだったら聞いてやるか、くらいの気持ちでした。
「まあ、ないとは言えないけど・・・・見られて困るものとか?」
「おまえもある?そうかそうか」
 太っちゃんは嬉しそうな顔をしました。
「エッチな下着とかかなあ」
「そりゃ見せたいもんだろ」
「あんたには見せんよ」
 太っちゃんはいつもみたいにのってきませんでした。いっそう声をひそめて、
「あのさ、一番やばいのはHDDだと思うのさ」
と言ったのです。
「HDD?」
「ハードディスク。パソコンの」
「ああ、それやばい。私もやだ」
「だろ。死んだら人に見られちゃうんだ」
 お互い何が真相なのかは言わなくて、それはジジ抜きみたいな会話でした。
「協約結ぼうぜ」
 太っちゃんは胸を張って言いました。
「先に死んだ方のパソコンのHDDを、後に残ったやつが破壊するのさ」
「パソコンって、壊そうと思って壊れるもの?ハンマーで破壊するの?」
・・・・・・(p.73~75)
2001_0221_174321AA 2009-01-20 13-41-57
もう、この部分を書き抜いただけで、ソウソウ!これなんだよな!と圧倒的に共感します。

ニーチェだったかな、秘密を共有するのが恋愛の始まり、とか言ってた気がしますが、ここまで生きてくると、ハア?恋愛?・・・・とツッコミを入れたくなります。そんな垢まみれのもの?と。
まあ、100年のズレがありますから、しょうがないんですけど。




気持ちがいい場所 1 花吹雪

4月初旬の昼下がり。
仕事場に立ち寄ってから下沼公園へ。
予定より早めに着いたので、池の周りをゆっくり散歩。

中の島にある小さな弁天堂に渡り、絵馬を見たり、願掛け文をみたり。
「資格がほしい」という願掛けに、頑張れ!と心で声援。
数日ぶりの晴れた空を背景に満開の桜が浮かんでいます。
下沼公園

池を半周したところ、はらはら落ちる桜の花びらのむこうから、見覚えのある女性が微笑みながら歩いてきました。
おや?弁天様が降りてきたか?(弁天様って女性だよね?たしか)
いつものメンバーのひとりでした。

桜の木の根元に二人で腰をおろして、他の人が来るのを待ちました。
他のメンバーが集まるまで、場所取りのつもり。

年に一度の「春茶会」の日です。
12,3年前に始まった元同僚たちとの小さな年中行事。
5、6人が自作の茶碗を持ち寄って、野点&ランチ&和菓子乱食い、ついでに互いの無事を確かめ合う2時間ほどの宴。

池を見ながら二人でぼんやりしていると、突然強風が訪れ、視界いっぱいに花びらが舞いました。
背景の池がかすんでしまうような花吹雪。
しばし、乱舞する花びらを楽しみました。

こんな花吹雪をみたのは、いつのことだったかな?
20年以上前だったかも・・・・

隣であわててスマホを取り出すのをみて、私はガラケイにパスワードを打ち込みます。が、なかなか開かない。

「ダメですねえ、新しい機種に慣れなくて。」
「私なんか、ガラケイのパスワードが入らないんですから、やっぱり老化が進んでます。」
苦笑いしながら、風がおさまって、池一面に残った花びらを眺めました。
DSC_1538.jpg

花吹雪が終わったところにメンバーが到着。
いつもの春茶会が始まりました。

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